このブログでは Harry Potter を英語で読んでみたいという方々へ向け、様々なアドバイスや読み進める際のポイントを解説しています。
今回は、ハリポタシリーズの中でも登場回数の多い、ハグリッド(Hagrid)の訛りについて解説します。
さっそくですが、次のハグリッドのセリフを読んでみてください。
An’ I reckon it’s abou’ time yeh read yer letter.
Rowling, J.K.. Harry Potter and the Philosopher’s Stone (English Edition) (p.55). Pottermore Publishing. Kindle 版.
「An’」「reckon」「abou’」「yeh」「yer」など、普通の英文では見ない言葉が出てきています。慣れないうちは読むのが難しいハグリッドのセリフですが、なまりには規則性があるので、ルールを覚えると簡単に読むことができます。
ハグリッドはシリーズを通してずっと登場するキャラクターです。ここでなまりを理解して、ハグリッドのセリフをスムーズに読めるようにしておきましょう!

文字で読めるようになると、映画のセリフも聞き取りやすくなるよ😊
ハグリッド(Hagrid)のなまり解説
ルビウス・ハグリッド(Rubeus Hagrid)は『ハリー・ポッター』シリーズに登場する半巨人で、ホグワーツの森番を務める心優しい人物です。
ハグリッドのの話し方には独特のなまり(方言)があり、イギリス英語の標準語(容認発音: Received Pronunciation, RP)とは異なる特徴的な表現が見られます。ハグリッドのなまりは、イギリスの南西部で話される方言で、アメリカ英語のような丸みのある母音が特徴です。
実は、アメリカに渡った人々はもともとイギリスの南西部、Devon(デボン)州の港からアメリカに渡っており、アメリカ英語はイングランド南西部とアイルランドのなまりがまじりあってできていると言われています。
そんなアメリカ英語の原型ともいえるハグリッドのなまりについて、以下、標準的な英語(なまりのない文章)と、ハグリッドのなまりのある英語を比較しながら解説します。

ハグリッドの言葉から元の英文を予想できるようにしよう!
発音の変化
ハグリッドの発言では、いくつかの音が省略・変化する傾向があります。
a) t, d の脱落・変化
語中や語尾の「t」や「d」がなくなることがあります。
標準英語 | ハグリッドの英語 |
---|---|
Don’t tell me that. | Don’ tell me tha’. |
It’s about time ~ | It’s atou’ time ~ |
better | be’er |
b) 語頭の脱落
ハグリッドは単語の語頭の音を発音しないことがあります。声に出して読んでみたり、文章の流れでなんとなく元の単語が分かるのではないでしょうか。
標準英語 | ハグリッドの英語 |
---|---|
except | ‘cept |
because | ‘cause |
them | ‘em |
it’s | ‘s |

‘cause や ‘em は頻繁に出てくるよ
しっかり覚えておこう!
文法の変化
ハグリッドの英語では、文法的にもいくつかの変化が見られます。
a) 助動詞や前置詞の省略
ハグリッドは助動詞や動詞を省略したり、短縮したりすることがあります。
標準英語 | ハグリッドの英語 |
---|---|
I have been waiting for you. | I bin waitin’ fer yeh. ※binはbeenの訛った形 |
Young Sirius Black lent it to me. | Young Sirius Black lent it me. |
Rowling, J.K.. Harry Potter and the Philosopher’s Stone (English Edition) (p.15). Pottermore Publishing. Kindle 版.
b) 動詞の省略と変化
「going to」⇒「gonna」など、言葉がつながって特殊な省略のされ方をすることがあります。
標準英語 | ハグリッドの英語 |
---|---|
going to | gonna |
got to ※「have to」と同じ意味 | gotta |
should have | shoulda |
should not have | shouldn’ta |

gonna や gottaは英語のスラングで、歌詞とかでも良く出てくるよ
c) my の代わりにmeを使う
ハグリッドは my の代わりに me を使います。実際にハリーポッター本編の中から例文を紹介します。
Shouldn’ta lost me temper.
Rowling, J.K.. Harry Potter and the Philosopher’s Stone (English Edition) (p.64). Pottermore Publishing. Kindle 版.
通常の英語の表記にすると、次のようになります。
Should not have lost my temper.
Bin watchin’ from me hut.
Rowling, J.K.. Harry Potter and the Philosopher’s Stone (English Edition) (p.200). Pottermore Publishing. Kindle 版.
こちらも通常の表記にすると次のようになります。
I have been watching from my hut.

「なんでここは me 何だろう」っていちいち気にしなくて大丈夫!
d) were の代わりにwasを使う
you were と言うべきところで was を使うことがあります。例を見てみましょう🧙
You was just a year old.
Rowling, J.K.. Harry Potter and the Philosopher’s Stone (English Edition) (p.60). Pottermore Publishing. Kindle 版.

これも「なんで was なんだろう?」って考えなくてOK👍
特殊な単語
ハグリッドの英語では、一部の単語が一般的な英語と異なる綴りになっています。
「you」⇒「yeh」などの変化で、ハグリッドの柔らかい話し方を表しています。
標準英語 | ハグリッドの英語 |
---|---|
you | yeh |
your you are | yer |
to | ter |
yes | yeah yep |

慣れてくると元の単語がすぐに分かるようになるよ💪
ハグリッドのなまりの特徴のまとめ
カテゴリー | 変化の特徴 | 例 |
---|---|---|
t, d の脱落 | 語尾の「t」「d」を発音しない | tha’ (that), be’er (better) |
語頭の脱落 | 語頭の音を発音しない | ‘cause (because), ‘em (them) |
助動詞や前置詞の省略 | 「have」「to」などの省略 | I bin waitin’ fer yeh. (have been waiting for you.) |
動詞の省略と変化 | 特殊な省略形を使う | gonna (going to), gotta (got to) |
特殊な文法表現 | 「my」 の代わりに「me」、「were」の代わりに「was」を使う | Shouldn’ta lost me temper. |
特殊な単語 | 発音に合わせ、単語の綴りが異なる | yeh (you), yer (your), ter (to) |
ハグリッドの話し方は、イギリスの南西部に似た特徴を持っています。ハグリッドの素朴で親しみやすい性格がこのなまりでも表現されています。
ハグリッドの会話シーンは1巻からかなり多いので、少しずつ慣れていきましょう!😊

それではまた次の記事で!
ハグリッドのなまりについては下記の本でも解説されています。このページで紹介したもの以外にも詳しく解説されているので、興味があればどうぞ!
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