🎬 はじめに
2025年、HBOによる『ハリー・ポッター』ドラマシリーズの制作が発表され、大きな話題を呼びました。中でもファンの間で議論を呼んでいるのが、セブルス・スネイプ役に黒人俳優(Paapa Essiedu)が起用されたというニュースです。
SNSでは「ドラマシリーズは原作に忠実というけれど、スネイプは黒人だったの?」という声が多く見られます。確かに映画版でのアラン・リックマンのイメージが強いぶん、違和感を抱いた方も多いかもしれません😓
本記事では、英語学習の視点も踏まえて原作の表現を確認しながら、「原作再現」と「キャスティング」の関係について考えてみたいと思います。
📺 ドラマ版『ハリー・ポッター』とは?
HBOによるドラマ版『ハリー・ポッター』は、原作7巻を1シーズン=1巻という構成で10年がかりで製作される、壮大なリブート企画です🧙
制作サイドは当初から「映画よりも原作の細部に忠実なドラマを目指す」と明言しており、キャスティングでも“イメージ刷新”が進められています。
制作開始を伝えるXの投稿では
「a faithful adaptation(忠実な映像化)」という表現を使っています☝️
そして今回、スネイプ役に黒人俳優が起用されたことで、その「忠実さ」との整合性について議論が巻き起こりました。
📚 原作スネイプの描写とは?英語で確認
では、原作のスネイプ先生はどのように描かれているのでしょうか。
スネイプ先生の初登場は、『賢者の石』第7章 “The Sorting Hat” で、組分け帽子の儀式が終わってクィレル教授と話しているシーンです🎩
Professor Quirrell, in his absurd turban, was talking to a teacher with greasy black hair, a hooked nose and sallow skin.
Rowling, J.K.. Harry Potter and the Philosopher’s Stone (English Edition) (p. 134). (Function). Kindle Edition.
また、第8章 “The Potions Master” では、次のような描写もあります。
His eyes were black like Hagrid’s, but they had none of Hagrid’s warmth. They were cold and empty and made you think of dark tunnels.
Rowling, J.K.. Harry Potter and the Philosopher’s Stone (English Edition) (p. 146). (Function). Kindle Edition.
この場面では、スネイプ先生の外見的特徴として次の表現が使用されています。
- greasy black hair:脂ぎった黒髪
- hooked nose:ワシ鼻
- sallow skin:青白くくすんだ肌
- black eyes:黒い目
ここで重要なのが、「肌の色を“black”や“dark-skinned”と明確に記述していない」という点です。
“sallow”という単語は、英語では「不健康に黄色っぽい」「青白い」「土気色の」という意味で、人種的な黒人の肌色とは異なる表現です。
つまり、スネイプ先生の外見描写は「陰気」「不健康」「不気味」といった雰囲気を演出しているのであって、必ずしも人種的な属性を限定するものではないのです。
🧑🏫 比較:キングズリー・シャックルボルトの場合
原作で明確に黒人として描写されているキャラクターも存在します。
その一人が魔法省の闇祓い「キングズリー・シャックルボルト(Kingsley Shacklebolt)」です。
映画版でも黒人俳優(George Harris)が起用されていますが、原作では “dark-skinned” や “tall black wizard” などの表現が登場します。
‘And this is Kingsley Shacklebolt.’ He indicated the tall black wizard, who bowed.
Rowling, J.K.. Harry Potter and the Order of the Phoenix (English Edition) (p. 46). (Function). Kindle Edition.
☝️ 『不死鳥の騎士団』第3章からキングズリー・シャックルボルトの初登場シーンです。
明確に “tall black wizard(背の高い黒人の魔法使い)” と表現されています。
このように、J.K.ローリングは黒人キャラクターに対しては明確に描写する傾向があり、それと比較してもスネイプの描写が「特定の人種を明示していない」ことがわかります。
💬 英語小説における肌の色の描写とは?
英語圏の小説では、肌の色や人種が必要な場合には明示的に表現されますが、特に白人キャラクターは肌の色が記述されないことが多いです。
- 白人キャラ
→ pale, fair, ruddy など(暗示的) - 黒人キャラ
→ dark-skinned, black, brown-skinned など(明示的)
“sallow”のように「不健康な」「黄色っぽい」「青白い」などの色味表現は、あくまでキャラクターの雰囲気を描写するために使われているもので、必ずしも人種的意味を含むとは限りません👈️
💭 個人的な考察:キャストの多様化とファン心理
映画版のスネイプ=アラン・リックマン、というイメージは非常に強く、私自身も最初は「違和感あるな…」と思いました🤔
しかし原作を改めて読み直すと、「肌の色」に関する描写はほとんどなく、それよりも「性格」や「行動」がキャラクターの本質を形づくっていると気づかされます。
キャストが誰であれ、スネイプのあの皮肉と憎悪、そして裏にある深い愛情がきちんと演じられるなら、それは“原作に忠実”と呼べるのではないでしょうか。
そして何より、ドラマ版には映画でカットされた重要なシーン(例:スネイプの守護霊の真実、ダンブルドアとの会話の詳細など)の再現も期待できます。
映画では描ききれなかった魔法界の広がりを見せてくれるなら、私は楽しみにしたいと思います。

アラン・リックマンのスネイプ先生が魅力的すぎたんや……😢
✅ まとめ:肌の色に縛られず、物語を楽しむために
- 原作のスネイプは「黒人」と明示されていない
- 英語表現 “sallow(土気色の)” は人種ではなく雰囲気描写
- 原作再現=見た目の忠実さではなく、本質の再現
- ドラマ版では、映画で描ききれなかった深い物語を再発見できるかも
🔗 英語学習者へのおすすめ
原作の英語を自分で読んでみることで、表現の微妙なニュアンスが理解できるようになります。
このブログでは英語でハリー・ポッターを読み進められるよう、いろんなアドバイスをしているので良かったら他の記事も読んでみてください😊
英語で読むならKindle版がおすすめ↓
Harry Potter and the Philosopher’s Stone (English Edition)「ハリー・ポッターが英語で楽しく読める本」も単語の解説や、固有名詞の語源なども載っていておすすめです😊
「ハリー・ポッター」Vol.1が英語で楽しく読める本 「ハリー・ポッター」が英語で楽しく読める本
それではまた次の記事で!
コメント