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ハリー・ポッター原書のイギリス版とアメリカ版の違い|変えられた言葉を一文と朗読で確かめる

ハリー・ポッター原書のイギリス版とアメリカ版の違い(sherbet lemon と lemon drop) 3. ハリポタ英単語・表現集

このブログでは Harry Potter を英語で読んでみたいという方々へ向け、様々なアドバイスや読み進める際のポイントを解説しています。

ハリー・ポッターの原書を買おうとすると、1巻には Philosopher’s Stone(イギリス版)と Sorcerer’s Stone(アメリカ版)の2種類があることに気づきます。実は、違うのはタイトルだけではありません。本文の言葉も、アメリカ版を出すときにあちこち書き換えられています。

この記事では、どんな言葉が、なぜ変えられたのかを、原書の一文と公式の朗読で確かめていきます。

テライ
テライ

違いが分かると、どちらの版で読むかも決めやすくなります😊

イギリス版とアメリカ版の違い、先に結論

先に結論

  • 1巻は、アメリカ版で本文の言葉が書き換えられている(ファンサイトの一覧では80項目)
  • 多いのは食べ物・服・学校・暮らしの言葉(sherbet lemon → lemon drop、jumper → sweater など)
  • 理由は、アメリカでは別の意味になる言葉やなじみのない言葉だったから
  • 2026年10月31日まで、公式YouTubeで両方の版の朗読を無料で聞き比べられる

原書の一文で見てみる

1巻1章、ダンブルドア先生がマクゴナガル先生にお菓子をすすめる場面です。「何ですって?」と聞き返されたダンブルドア先生は、こう答えます。

【原書使用例🧙】

‘A sherbet lemon. They’re a kind of Muggle sweet I’m rather fond of.’

Rowling, J.K.. Harry Potter and the Philosopher’s Stone (English Edition) (p.11). Pottermore Publishing. Kindle 版.

訳:「シャーベット・レモンですよ。マグルのお菓子の一種で、わたしはけっこう気に入っているんです」

sherbet lemon は、中にシュワッとする粉(sherbet)が入ったレモン味の飴で、イギリスでは定番のお菓子です。アメリカ版では、この言葉が lemon drop(レモン味の飴)に変えられています。

sherbet はアメリカだと別のものを指す

イギリス英語の sherbet は「果物の味がする粉のお菓子」です。ところがアメリカ英語の sherbet は、アイスクリームに似た冷たいデザートを指します。アメリカの読者が sherbet lemon と聞くと、飴ではなく、冷たいデザートを思い浮かべやすいわけです。lemon drop に変えられたのは、そのためだと考えられます。

ちなみに、同じセリフの sweet(お菓子)は、アメリカ版の朗読でもそのまま sweet と読まれています。別の場面では sweets が candy に変えられているので、直し方は一律ではありません。

変えられた言葉の例

ファンサイトの Harry Potter Lexicon は、1巻の初版どうしを比べた一覧を公開しています。そこに載っている違いは80項目です。その中から、原書を読むときによく出会う言葉を種類ごとにまとめました。

食べ物

イギリス版アメリカ版意味
sherbet lemonlemon dropレモン味の飴
crispschipsポテトチップス
sweetscandyお菓子(飴やチョコレートなど)
jellyJell-Oゼリー
jacket potatobaked potato皮つきのまま焼いたじゃがいも
crumpetsEnglish muffinsトーストして食べる丸いパン
ice lollyice pop棒つきのアイスキャンディー

服・身の回りのもの

イギリス版アメリカ版意味
jumpersweaterセーター
trainerssneakersスニーカー
dressing gownbathrobe部屋着のガウン
fringebangs前髪
SellotapeScotch tapeセロハンテープ(どちらも商品名)
dustbintrashcan屋外に置くごみ箱
cookerstoveコンロ

街・乗り物・暮らし

イギリス版アメリカ版意味
car parkparking lot駐車場
motorwayhighway高速道路
motorbikemotorcycleオートバイ
trolleycart駅の荷物用カート
letter-boxmail slot玄関ドアの郵便受け
postmail郵便物
queuinglining up列に並ぶこと
cinemamovies映画館

学校・スポーツ

イギリス版アメリカ版意味
comprehensivepublic school公立の中等学校
set bookscourse books指定の教科書
revisionstudying試験に向けた勉強
footballsoccerサッカー
pitchfield競技場
roundersbaseballrounders は野球に似たイギリスの球技
changing roomlocker room更衣室

家族の呼び方・言い回し

イギリス版アメリカ版意味
mum / mummymom / mommyお母さん / ママ
shan’twon’t〜しないつもりだ
Happy ChristmasMerry Christmasメリークリスマス
madcrazyどうかしている
holidayingvacationing休暇を過ごしている

Happy Christmas と dressing gown は、1巻12章の単語解説でも取り上げています🎄

なぜ言葉を変えたのか

アメリカ版を出したのは Scholastic という出版社です。同社の元編集者の話によると、担当編集者のアーサー・レヴィン(Arthur Levine)が本文をアメリカの読者向けに直し、すべての変更を作者に確認しながら進めました。変えられた言葉を見ていくと、大きく2つの種類に分けられます。

① 同じ言葉が、アメリカでは別の意味になる

  • jumper:イギリスでは「セーター」。アメリカでは、ブラウスなどの上に重ねて着る袖のないワンピースを指す
  • chips:イギリスでは「フライドポテト」。アメリカでは「ポテトチップス」。そのためイギリス版の crisps が、アメリカ版では chips になった
  • football:イギリスでは「サッカー」。アメリカでは「アメリカンフットボール」
  • public school:アメリカでは「公立学校」。イングランドでは学費の高い私立学校

最後の public school は、とくにややこしい言葉です。イギリス版でハリーが通うはずだった学校は comprehensive(公立の中等学校)と書かれていて、アメリカ版ではこれが public school になりました。イギリスの読者が public school と聞くと、正反対の学校を思い浮かべます。同じ英語でも、国が変わると意味が逆になる例です。

② アメリカではなじみがない

sherbet lemon、crumpets、rounders のように、もの自体がアメリカであまり知られていない言葉もあります。rounders は野球に似たイギリスの球技で、アメリカ版では baseball に置き換えられました。Sellotape と Scotch tape は、それぞれの国でよく知られたセロハンテープの商品名です。

巻が進むと、書き換えは減っていく

同じ元編集者によると、巻が進むにつれて書き換えは少なくなりました。読者がイギリスの言葉に慣れていったことと、映画が pitch などの言葉をそのまま使ったことが理由だそうです。

ちなみに、2026年12月25日にアメリカで始まるHBOのドラマ版は、アメリカ向けの公式発表でも Philosopher’s Stone の題名が使われています。

タイトルが変わった理由や、つづりの違い(colour と color など)は、次の記事で紹介しています。

言葉以外にも違いがある

Harry Potter Lexicon の一覧には、単語の置き換え以外の違いも載っています。

  • 会話を囲む記号:イギリス版は ‘ ’、アメリカ版は “ ”
  • 手紙の見た目:アメリカ版では、ハグリッドやマクゴナガル先生の手紙が手書き風の文字で印刷されている
  • 組分けの場面:アメリカ版には、ディーン・トーマスがグリフィンドールに入る一文がある(初版どうしの比較)

どれも物語の筋を変えるものではありません。

公式YouTubeの朗読で聞き比べる【2026年10月31日まで無料】

文字で見た違いは、音でも確かめられます。公式YouTubeチャンネル「Harry Potter」が、1巻の朗読を2026年10月31日(ハロウィーン)まで無料で公開しているからです。

  • イギリス版:スティーヴン・フライ(Stephen Fry)の朗読。タイトルは Philosopher’s Stone
  • アメリカ版:ジム・デール(Jim Dale)の朗読。タイトルは Sorcerer’s Stone
  • どちらも全17章が、4本の動画に分かれている。YouTubeなので会員登録はいらない

公式の説明によると、ジム・デール版が北米以外で公開されるのは、このYouTubeが初めてです。オーディオブックの配信サービスでは、ジム・デール版は北米だけ、スティーヴン・フライ版は世界共通とされています。日本で2つの版を聞き比べられる、めずらしい機会です。

聞き比べポイント(1〜2章)

1〜5章の動画で、同じ場面がそれぞれ何分ごろに出てくるかをまとめました。時刻を押すと、その場面の少し前から再生されます。時刻は目安です。

場面イギリス版(フライ)アメリカ版(デール)
タイトルの読み上げ0:10ごろ
Philosopher’s Stone
0:12ごろ
Sorcerer’s Stone
ダーズリー氏が会社に着く
(1章)
5:22ごろ
car park
4:39ごろ
parking lot
ダンブルドア先生のお菓子
(1章)
19:31ごろ
sherbet lemon
17:13ごろ
lemon drop
ハグリッドが空から現れる
(1章)
26:21ごろ
motorbike
23:58ごろ
motorcycle
ハリーのめがね
(2章)
35:41ごろ
Sellotape
32:44ごろ
Scotch tape
ダドリーの誕生日プレゼント
(2章)
38:36ごろ
cine-camera
35:49ごろ
video camera
ダドリーのお古の服
(2章)
43:33ごろ
jumper
40:41ごろ
sweater
動物園で買ってもらうアイス
(2章)
46:11ごろ
ice lolly
43:12ごろ
ice pop

動画を最初から聞くときは、こちらからどうぞ。

聞き比べのコツ

  • 最初から通して聞かなくて大丈夫。表の場面を1つ選んで、30秒だけ聞いてみる
  • 聞き取れないときは、YouTubeの英語字幕(自動生成)をオンにする。再生速度を0.75倍に落としてもよい
  • 同じ場面を2つの版で続けて聞く。言葉だけでなく、発音やリズムの違いにも耳を向けてみる

無料公開が終わったあと・2巻以降を聞くなら

公式YouTubeで聞けるのは1巻だけで、公開は10月31日までです。そのあとも聞きたいときや、2巻より先へ進みたいときは、Audible が使えます。日本のAudibleにあるのは、このブログが引用しているのと同じイギリス版です。

↓Audibleの無料体験はこちらから🎧️
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無料体験のあとは月額1,500円です。どんな朗読が聞けるかは、Audible版のレビュー記事にまとめています。

どちらの版で読めばいい?

このブログの引用とページ数は、すべてイギリス版(Philosopher’s Stone)に合わせています。これから原書を買う方は、イギリス版を選ぶと、このブログの解説とそのまま照らし合わせられます。

すでにアメリカ版を持っている方も、心配はいりません。物語の筋は同じで、違うのはこの記事で紹介したような言葉です。解説と本の言葉が合わないときは、この記事の表を見返してみてください。

原書を読み始める前の準備については、ハリポタ原書を読むために必要なものもあわせてどうぞ📚️

まとめ

この記事の要点

  • アメリカ版は、タイトルだけでなく本文の言葉も書き換えられている(1巻は一覧で80項目)
  • 多いのは食べ物・服・学校・暮らしの言葉。sherbet lemon → lemon drop、jumper → sweater など
  • 理由は、アメリカでは別の意味になるか、なじみがないから。巻が進むと書き換えは減る
  • 公式YouTubeの朗読は2026年10月31日まで無料。同じ場面を2つの版で聞き比べられる
  • このブログの引用はイギリス版

知らない単語に出会ったとき、「これはイギリスの言葉かもしれない」と思えるだけで、原書はぐっと読みやすくなります📚️

参考:Harry Potter Lexicon(Differences between British and US versions of PS)、Publishing Trends「Of Bollards and Muggles」(2004年)、Cambridge Dictionary(jumper・sherbet・chip・crisp・football・public school・comprehensive school の項)、公式YouTubeチャンネル「Harry Potter」の動画説明欄(2026年10月11日に確認)、Warner Bros. Discovery の米国向けプレスリリース(HARRY POTTER AND THE PHILOSOPHER’S STONE、2026年3月27日)

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